Vol.1 アジアで躍進するCC-Link/CC-Link IE

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

Special Report

FPD International China 2012/Beijing Summitレビュー
CC-Link協会

アジアを中心に広がるCC-Link
FPD業界に向けて優位性をアピール

「2012 FPD International China/Beijing」の技術講演に登場したCC-Link協会(CLPA:CC-Link Partner Association)は、CC-Link/CC-Link IEの普及に関する最新の状況と、同規格の普及拡大に向けたCLPAの最近の活動を紹介。さらにCC-Linkの技術の重要なポイントについても解説した。この中で、日本で生まれたCC-Linkの技術は、アジアを中心に着実に広がっており、多くのフラットパネル・ディスプレイ生産工場で採用されていることを明らかにした。

CC-Link協会の展示ブース

CLPAの講演では、事務局長の中村直美氏と中国事務所の陳傑氏の二人が登壇した。最初に登壇した中村氏は、まずCC-Linkファミリーの概要を紹介した。同ファミリーには、「CC-Link」「CC-Link Safety」「CC-Link/LT」、ギガビットEthernetの物理層を利用した「CC-Link IE Control」「CC-Link IE Field」など複数のプロトコルが用意されている。「いずれのプロトコルもSLMP(Seamless Message Protocol)と呼ぶ概念を使用することで、プロトコル間でシームレスに通信することが可能です。つまり、装置、装置間、情報系を含めて工場全体をシームレスにつなぐネットワークを実現することができるわけです」(中村氏)。

続いて同氏は、CLPAの活動とCC-Linkファミリーの普及状況について語った。CLPAは、日本、欧州、北米、中国、韓国、台湾、シンガポールに新たにインドを加えた世界8カ所に拠点を構えグローバルな活動を展開している。「2012年9月現在で参加企業の数は1742社と、産業用オープン・ネットワークの規格推進団体では世界最大の規模を誇っています」(中村氏)。CC-Link/CC-Link IE対応機器は、2012年9月現在で1253品種にも上る。
CC-Linkは、今回のイベントのターゲットであるフラットパネル・ディスプレイ業界でも高い支持を受けている。「世界のパネル・メーカーの工場の80%がCC-Linkを採用しています。次世代のフラットパネル・ディスプレイとして、今後の市場拡大が期待されている有機ELディスプレイ・メーカーのほとんどがCC-Linkを採用しています」(中村氏)。

CC-Linkのキーポイントを解説

中村氏に続いて登壇した陳氏は、FPD生産ラインの自動化に関する課題と、その解決に貢献するCC-LinkおよびCC-Link IEの技術的な特長を説明した。同氏が挙げた課題の一つは、自律して動作する複数の大型製造装置が高精度で連携できる通信ネットワークを構築することだ。「このために必要なN対Nのリアルタイム通信を合理的に実現するCC-LinkおよびCC-Link IEでは、複数のコントローラが一つの仮想的メモリを共有する『ネットワーク共有型メモリ』という技術を採用しています」(陳氏)。この技術は、製造装置内のネットワークを構築するうえでも有利だと言う。「FPD製造装置の大型化にともなって内部のセンサやアクチュエータを統合制御するネットワークが不可欠になっています。ネットワーク共有型メモリの技術を利用すれば、制御プログラムを効率よく作成できます」(陳氏)。
同氏が、もう一つの大きな課題として挙げたのは、生産ラインで発生する大量のトランジェント(非リアルタイム)・データを上位の情報系に送信する仕組みを設けることだ。「FPD製造ラインでは、生産や品質、エネルギーを管理する情報系との連携がますます重要になっています」(陳氏)。こうした要求に対応できるように1Gbpsと高速のデータ伝送速度を備えるCC-Link IEには、伝送帯域を二つに分けて、それぞれを制御用のサイクリック通信と生産管理用のトランジェント通信に割り当てて使える機能が盛り込まれている。上記CC-Link IEのFPD工程に適合した優れた特長をふまえ、現状CC-Linkで実績のあるFPD業界で、今後更にCC-Link IEが普及していくだろう。

中村 直美氏CC-Link協会
事務局長

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5