Vol.1 アジアで躍進するCC-Link/CC-Link IE

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Special Report

FPD International China 2012/Beijing Summitレビュー
三菱電機

TCO削減に貢献するFAの新概念を紹介
「CC-Link/CC-Link IE」で情報系と生産現場の連携促進

三菱電機は、「2012 FPD International China/Beijing」の技術講演で同社が推進する新しいFAシステムのコンセプト「e&eco-F@ctory」について語った。工場内を網羅する「横の連携」と、生産現場と情報システムをつなぐ「縦の連携」を可能にする仕組みを構築し、これらをシームレスに接続することで、同社がe&eco-F@ctoryで目指す効率的な生産体制を実現できる。そこで欠かせないキーテクノロジーの一つが産業用オープン・ネットワーク「CC-Link/CC-Link IE」だと言う。

三菱電機の展示ブース

三菱電機の技術講演で講師を務めたのはFA System DepartmentのSenior Manager森田英昭氏である。同氏は、講演の冒頭でFA(Factory Automation)の分野における同社の位置付けを簡単に紹介した。同社は民生から宇宙まで幅広い事業領域を手掛けている。その中でも特に業界における同社の存在感が高いのがFAの分野である。「三菱電機のFA関連製品は、世界の市場で高い評価を受けており、世界全体の市場で15%ものシェアを握っています」(森田氏)。
もう一つFAの分野における同社の重要な役割は、産業用オープン・ネットワークの有力な規格の一つ「CC-Link」や「CC-Link IE」の開発元であることだ。「数多くの産業用オープン・ネットワークの規格がある中で、特にアジア地域で市場シェアが高いのがCC-Linkです。ギガビットEthernetの物理層を利用したCC-Link IEもアジア地域を中心に高い評価を受けています」(森田氏)。

「企業」と「社会」の両面で課題を解決

こうした同社が推進しているe&eco-F@ctoryは、様々な同社のFA機器とCC-Link/CC-Link IEの技術を駆使して実現する新世代のFAシステムのコンセプトである。森田氏は、e&eco-F@ctoryを考案した背景を説明するために、いま工場が直面している課題を整理した。「工場にまつわる課題は大きく二つに分類することができます。一つは『企業における工場』としての課題。設備の稼働率向上、品質の向上、生産変動への追従など、主に『生産価値』の向上にまつわる課題です。もう一つは『社会における工場』としての課題。省エネ、環境負荷排出の防止、トレーサビリティの実現といった『環境・社会との共生』を図るうえでの課題です。こうした大きく二つの課題を同時に解決するためのソリューションをもたらすのがe&eco-F@ctoryです」(森田氏)。しかも、e&eco-F@ctoryに基づくFAシステムは、工場におけるTCO(Total Cost of Ownership)の削減にも貢献すると同氏は強調した。
e&eco-F@ctoryの基本的な考え方は、工場と情報部門を平面状に並べてみて、その中で「縦(生産現場と上位システム)」と「横(工場内の機器)」の連携を実現することである。これによって、生産現場で発生したデータの収集や分析を迅速かつ簡単に実現できる効率的な情報環境を実現する。そこで必要となるのが、同社の提供する情報連携機器やFA製品群である。
例えば、「縦の連携」を実現するうえで必要な情報連携機器にはMESインタフェースや高速データロガーなどがある。「上位の情報系とFAシステムをつなぐために、従来はゲートウエイ・パソコンが必要でしたが、当社が提供するMESインタフェースユニットに置き換えることで、システム構築にかかるコストを70%も削減できます」(森田氏)。
「横の連携」を実現するのが、同社が提供する各種コントローラおよびHMI、エンジニアリング・ソフトウエア、CC-Link及びCC-Link IEの技術を使ったネットワークである。「中でもe&eco-F@ctoryの神経網とも言えるネットワークの役割は重要です。情報システムなどのコンピュータ・レベルから、工場内のコントローラ・レベル、デバイス・レベル。生産工程を監視するセンサ・レベルまでシームレスに接続できるCC-LinkやCC-Link IEならば、目的や用途に応じた最適なネットワークを実現できます」(森田氏)。e&eco-F@ctoryに関連する同社の製品やソリューションは、講演会と同時に開催された展示会の同社ブースでも披露していた。

森田 英昭氏三菱電機
FA System Department
Senior Manager

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