Vol.8 Cover Story

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CLPAとOPC FoundationがMoU締結

CLPAとOPC Foundationが
工場とICT間の連携に向けて協力
「ヨコ」と「タテ」、両方向へ加速するCC-Link IEの拡張

CC-Link協会(CLPA)は2016年4月、OPC Foundationと工場とICT間の連携に向けた協力を行うことで合意した。製造現場のFAと経営層のICTを結び付け、製造現場で発生するデータの解析から生産性向上につなげるニーズが一層高まっている。これを背景に、CLPAとOPC FoundationはFAとICT間のインタフェースを統一することで、高度な生産を目指すスマート工場の実現に寄与する方針だ。

CLPAは2015年末、PROFIBUS & PROFINET International(PI)とネットワークの相互接続性強化を目指すことで合意している。CC-Link IEとPROFINETをつなぐ共通仕様の策定により、フィールドレベルで異なるネットワーク間の通信を容易にするものだ。
このCC-Link IEとPROFINETの連携がヨコのレベルの連携強化だとすれば、今回の合意はタテの方向への接続性強化と言える。OPC Foundationは、FAによる生産現場の制御システムとICTによる経営部門の情報システムを結び付けるインタフェース「OPC UA」を提唱しており、Industrie 4.0ではFAとICT間の標準インタフェースとして定義されている。CC-Link IEとOPC UAを連携させようというのが今回の合意であり、工場を取り巻くあらゆるものがつながるIndustrie 4.0やIndustrial IoTの時代に備える。
具体的には、CLPAはデバイスのプロファイル記述仕様「CSP+」を拡張し、装置が持つさまざまな情報を統一的に扱えるようにする。これをOPC Foundation と共同でOPC UAモデルとのマッピング仕様を定義。これにより、製造現場の装置とICT間のインタフェースが統一され、従来多大な労力が必要だった両者の接続が飛躍的に容易になる。
Industrie 4.0で情報量が増大する時代に1Gbpsという広帯域のCC-Link IEで応えるCLPAと、Industrie 4.0標準インタフェースのOPC UAを持つOPC Foundationの両団体が協力することの意義は大きい。CLPAの中村直美事務局長は「CSP+を拡張してOPC UAと連携させることで、あらゆる装置を一つのデバイスのように扱うことができ、生産現場の情報をさらに企業全体で共有しやすくなる」と指摘。OPC FoundationのThomas J.Burke社長も「CLPAとの連携により、CC-Link対応機器とクラウドを接続する効果的なソリューションが実現し、ベンダの枠を越えてすべての情報を統合する世界を、CLPAとOPCの会員に提供できるようになる」と提携の効果を強調する。
次世代のものづくりを目指す「スマート工場」は、IoTやIndustrie 4.0で生産現場と経営がつながることで現実的なものになった。その大きなトレンドの中では、細かい規格の違いにこだわる意味はもはや薄い。CLPAがPI、OPCという他の規格と相次いで連携を進めているのは、そうしたトレンドを踏まえたものなのである。

CC-Link IEとICTシステムがOPC UAを介して接続することも可能になる
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