Vol.6 Cover Story

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CC-Link協会創立から15年

創立15周年を迎えたCC-Link協会
標準規格対応でグローバル化を推進
世界標準のネットワークに

CC-Linkの普及を進めるCC-Link協会(CLPA)は、2015年11月に創立15周年を迎える。CLPAが15年の中で一貫して追求してきたのが「グローバル化」だ。日本で生まれたCC-Linkは一貫してグローバル化を志向し、アジアをはじめ世界各地でその存在感を高めてきた。現在、CLPAの拠点は日本を含め世界9か国・地域に広がり、CC-Linkを採用する製品は1400を超えた。15年という節目を機に、CLPAはさらにグローバル展開を加速させる。

今となっては信じられないが、CC-Linkは1996年の開発当初はセミオープンのネットワークだった。しかしネットワークはつながるノード数が増えるほど、その価値は幾何級数的に高まる。そこでCC-Linkの仕様を完全オープンにし、ベンダーに依存しないネットワークとして広く普及を目指すことにした。そのために2000年11月に発足したのがCLPAだ。
当時は新興国の台頭が目立ち始めた頃。中国などに工場を移す製造業が相次ぐ中では、日本や先進国だけに閉じていてはグローバルレベルの本格的な普及活動とは言えない。そこでCLPAは発足から半年後の2001年4月には、欧米に加えて中国・韓国・台湾・ASEANの6カ国・地域に拠点を開設した。成長著しいアジアに着目していち早く拠点を置いたことで、アジア台頭の波に乗る形でCC-Linkのグローバルレベルでの普及は確実なものとなった。2003年には早くもCLPAの会員のうち海外の会員が過半数を占めるようになり、CLPAの活動も発足数年でグローバルに軸足が移ったのである。
一方でCLPAがグローバル化のために推進してきたことが、国際規格や現地のローカル規格への対応だ。2001年5月のSEMIスタンダードを皮切りに、ISOやIECの各種の標準や認証を相次いで取得。また国家レベルの標準規格にも中国や韓国などで対応し、導入を進めやすい環境を整えてきた。
しかし標準規格への対応という点でCC-Linkの最大のトピックと言えば、やはり2007年の「CC-Link IE」の発表だろう。

CC-Link協会、発足から15年の歩み

Ethernetの世界を取り込む

CC-Linkファミリの一つとして、Ethernetの技術を取り込んだCC-Link IEの登場は、CC-Linkのオープン化とそれによるグローバル化の流れを決定づけた。コンピュータネットワークの分野でデファクトのEthernetを足回りとしたことで、CC-Linkファミリによる情報の連携は生産現場だけでなく、オフィスの経営部門も含めた製造業全体を広くカバーするものに発展した。ケーブルやコネクタなど物理的な部分で汎用製品が使えるようになり、メンテナンスに必要なものをどこでも入手できる環境が整ったことも、グローバル化を推し進める要因になっている。
以後はCC-Link IEを中心に機能の拡充が進んだ。特に2011年に実現した安全通信機能やモーション機能は、象徴的な機能強化と言える。安全に関連した制御情報を優先して通信する安全通信や、多軸制御でのディレイを吸収するモーション機能は、クローズドな技術の専用ネットワークでしか実現できないと思われてきたが、オープンなEthernetベースのCC-Link IEでも可能になった。ISOやIECなどの標準規格もCC-Link IEは相次いで取得し、CC-Link IEの優位性がさらに確立されたのである。
CLPAの会員は2015年3月時点で世界40か国2328社にのぼり、運営にあたる中核企業による幹事会も、2015年4月に米シスコが新たにメンバーとして参画するなど、バラエティに富む組織となった。グローバルの拠点は日本を含め9カ国・地域に及び、さらに10、11カ国目の拠点として近くタイ支部とメキシコ支部も開設する。CC-LinkファミリとCLPAのグローバル化の流れは、今後も緩むことはないだろう。

CC-Link協会パートナー会員数
CC-Link対応製品数
各支部代表に聞く「今後の戦略」

CLPA-Korea Director
JEONG Deog-Young

電子や自動車などの分野で、CC-Link IEが新規設備の標準ネットワークとして検討・適用が進んでいます。製品開発方法を紹介するセミナーを毎月行うとともに、カタログや展示会などを通じた製品の広告支援も行っていきます。

CLPA-Taiwan Deputy Director
Cheng-Chung Tsai

台湾の製造業では簡単に設定できるネットワークが求められており、多様な開発方法のあるCC-Linkが評価されています。ユーザへのプロモーションとともに、対応製品を開発するメーカーへのサポートも展開していきます。

CLPA-America Director
Robert Miller

CC-Linkは、製造業が産業用Ethernetに求める機能を全てカバーするネットワークとして認識されています。「Gateway to Asia」キャンペーンを活用し、米国パートナー会員のアジア展開を強力に推し進めていく方針です。

CLPA-Europe General Manager
John Browett

欧州の製造業はIndustry 4.0で新しいものづくりの世界を実現しようとしています。そのキーとなる要素はネットワークの帯域です。CC-Link IEは産業用Ethernetで唯一ギガビットを実現するネットワークとして注目されています。

CLPA-China Director
Zhang Rong

政府主導の「中国製造2025」により、産業用Ethernetへの関心の高まりが本格化してきました。重要な展示会への出展、ソーシャルメディアでの情報展開、有力媒体とのロードショー共催などでプロモーションをはかります。

CLPA-ASEAN
Andrew Shen

労働コスト上昇などを背景に、ASEANのロボット市場は今後3年で2倍に拡大すると予想されています。省配線や広帯域などASEAN製造業から評価されているCC-Linkの特長を前面に出したプロモーションを展開します。

CLPA-India Chairman
Sunil Mehta

繊維産業が集積するコインバトールなど中規模都市でのPR活動を展開したほか、自動車産業を対象にしたセミナーも開催予定です。同時に大学などと協力し、将来のエンジニアへのブランド確立も進めていく方針です。

CLPA-Turkey Country manager
Tolga Bizel

トルコのボスポラス海峡を海底トンネルで結ぶマルマライ計画にCC-Link IEが採用されたことで、CC-Linkはさらに広く知られるようになりました。機械産業や自動車、公共投資などをターゲットに普及に取り組んでいきます。

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