Vol.5 Special Interview

  1. 1
  2. 2

CLPA幹事会新メンバーMolexに聞く

Molexが CLPA幹事会に参加
CC-Link/CC-Link IEのさらなる発展を後押し

グローバルなビジネスを展開している産業用ネットワークソリューションプロバイダー大手の米Molex社が、CLPA幹事会のメンバーに新たに加わることが決定した。そこでCLPA幹事会に加わった動機などについて、同社でDirector、Industrial Communicationを務めるDamien Leterrier氏に聞いた。

右:CC-Link IE Field対応のMolex社製PCIカード
左:CC-Link対応のI/Oモジュール「Molex IP67 Harsh Environment I/O」

—Molexについて教えて下さい。 Leterrier氏Molexは世界全体で約3万6千人の従業員を抱えています。2013年9月に非上場会社の米Koch Industries社の買収を受け、同社の傘下に入りましたが、それ以前の売上高は約30億米ドルでした。Molexは、10万種類以上のコネクタを提供しています。それらの用途は、電子機器や光ファイバーの接続、スイッチやPCカードなど、あらゆる分野に広がっています。 —CC-Link/CC-Link IEには、どのようにかかわっているのですか。 Leterrier氏当社には、グローバル営業部門とマーケティング部門のほかに、「コマーシャルプロダクツ」「マイクロプロダクツ」「インテグレイテドプロダクツ」といった大きく三つの製品部門があります。このうちのインテグレイテドプロダクツを担当する部門の中にある「インダストリアルプロダクツグループ」がCC-Link/CC-Link IE対応製品を取り扱っています。
具体的には、I/Oブロック、大型オートメーション・システムや、デバイス類に組み込むネットワーク・インターフェースカードです。この中には、CC-Link/CC-Link IEに対応するように設計された製品もあります。
CC-Link/CC-Link IE対応の主力製品のターゲットは、アジア市場です。当社は様々なお客様にCC-Link/CC-Link IE対応製品を販売していますが、そのエンドユーザーは自動車をはじめ大量生産を前提にした事業を展開しているお客様です。具体的には、機器メーカー、組立ライン・ビルダー、システム・インテグレーターの方々です。これらのお客様には、一般的なロボット向けよりも水準が高いソリューションを提供しています。

「協力が成功の鍵」

—CLPA幹事会に参加する狙いは Leterrier氏Molexが掲げているモットーの一つに「協力が成功の鍵」があります。CLPA及びCLPAメンバー企業とのパートナーシップは、まさにこのモットーを具現化したものです。お客様のご要望に基づいて製品を開発する当社にとって、こうした協力は必要不可欠だと思っています。
市場の動きが刻々と変化する中で、お客様のご要望に素早く対応することは、当社が成功するうえで重要なカギです。このためには、お客様に先回りする形で、新しい技術を提供しなければなりません。ただし、自社だけで新しい技術を提供し続けることは不可能でしょう。だからこそ、最先端の技術を提供するパートナーと協力する必要があるのです。CLPAへの参画も、この考えに基づいています。CLPAの活動に幹事としてかかわることで、CC-Link/CC-Link IEのような最先端の技術の情報をいち早くお客様に提供することができます。
こうした協力関係は、テクノロジーだけではなく、マーケティングの観点から見ても価値があります。オープンな規格であるCC-Link/CC-Link IEの普及を図ることで、様々な分野の技術の発展に貢献すると同時に、私たちの製品の市場を広げることができるからです。

分散型企業で分散型ネットワークに対応

—技術の面ではどのような形でCLPAに貢献するのでしょうか。 Leterrier氏これまでに成し遂げた多数のイノベーション、新たに提供したテクノロジーに対して、Molexは当然誇りを持っています。 当社は純利益の約5%を研究開発に投資しています。ビジネスの世界では先手必勝ですが、これはCC-Link/CC-Link IEなど世界各地に広がっている産業用ネットワークの分野においても同じことが言えます。
例えば当社は、分散型の事業体制を導入しています。その一つが研究開発です。全世界の随所に研究開発拠点を展開していますが、各拠点の成果をお客様の要望に応じて、速やかに提供するには、ITを活用して、拠点間の意思疎通を図るための仕組みを構築する必要があります。私たちは、実際にこうしたIT基盤を持っていますが、実はこのシステムは、制御ネットワークと驚くほど似ています。ここで培ったノウハウを、CLPAの活動を通じてお客様に提供できるでしょう。
CLPAの幹事会の一員になることは、Molexにとって重要な機会だと考えています。CC-Link/CC-Link IEの普及活動にかかわれるだけでなく、CC-Link/CC-Link IEの技術の今後の展開にも関与できるからです。特にCC-Link/CC-Link IEはアジア地域で高い存在感を示していることから、アジアにおける当社の事業に多くの可能性をもたらすとみています。
Molexは、ODVA(Open DeviceNet Vendor Association, Inc. )やPI(PROFIBUS & PROFINET International)の活動にも関わっています。このように様々な団体とかかわるのは、多くの製品に当社の名前を付けるためではありません。様々な規格の発展に貢献したいと考えているからです。多くの規格に関与することで市場を有利に開拓できます。

規格化への参画で多くの利点を顧客に

—今後の取り組みについて教えて下さい Leterrier氏FA(Factory Automation)市場への参入に当たって重視しなければならないのは互換性です。つまり、多くの互換性オプションを提供すればするほど、当社製品を買っていただける機会が増えるはずです。
したがって当社が産業用ネットワーク市場の拡大を後押しするのは当然の選択だったといえるでしょう。このときに、CC-Link/CC-Link IEとかかわりを持たないという判断はあり得ませんでした。私たちは最新の技術をお客様に提供することを重視しているからです。
最近では、一つの製品に実装されるテクノロジーが倍々で増えています。これはつまり、お客様が使いやすいように、装置をシンプルにしなければならないということです。お客様がOEM、エンドユーザー、システム開発者、システムインテグレーターであろうとなかろうと、「プラグ・アンド・プレイ」によって新規導入時の作業を減らすことができれば、当社にとって重要な目標を1つ達成したことになります。
装置間の通信を強化すると、生産が中断する頻度を格段に減らすことができるでしょう。いわゆる「ビッグ・データ」の活用や、オートメーション管理という当社のビジョンは、CC-Link IEによって、より実現しやすくなります。
最高のネットワークソリューションを開発できるかどうかは、速度、対応時間、冗長性、システム回復力など、その開発目標に左右されます。規格策定に参加することで、ここで浮上する課題の解決にも貢献したいと思っています。

Damien Leterrier氏Molex
Director,Industrial Communication

  1. 1
  2. 2