Vol.4 Special Interview

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CLPAトルコ代表に聞く

CLPAの新たな海外拠点がトルコに
新興国における普及に一段と拍車

急速な経済成長を背景に、これから大きく産業が発展することが期待されているトルコに、CC-Link協会(CLPA)が新拠点を開設した。そこで2014年3月から活動を開始したCLPAトルコ支部代表のTolga Bizel氏に、今後の展開やトルコにおけるFA(Factory Automation)の動向などについて聞いた。20年以上もFA業界にかかわってきた同氏は、トルコで、CC-Link/CC-Link IEが普及する機運が高まっていると語る。

─トルコ支部(CLPA-Turkey)を設立した理由を教えてください。 Bizel氏過去5年間、トルコの経済は着実に成長しています。先進国の経済が停滞していた時期も、トルコ経済の力強さは変わりませんでした。しかも、依然として大きな潜在能力を秘めています。トルコにおけるビジネスの拡大を狙うならば、今後の10年間は、とても重要な時期だと思います。こうした考えからCLPAは、新たな拠点を設けて、トルコにおける活動を強化することにしました。 ─トルコにおけるFAの動向を教えて下さい。 Bizel氏トルコ政府が機械産業の輸出を伸ばす方針を打ち出していることから、FA機器の需要は今後大きく伸びる見込みです。
トルコ政府は、2023年までに輸出額の年間成長率17.8%を実現し、輸出額で1000億ドル以上、世界市場におけるシェアで2.3%を目指すという具体的な目標を設定しています。この目標を達成すれば、トルコの総輸出額のうち機械産業が占める割合は、18%に上昇する見込みです。さらに経済の発展とともに生産設備を増強する企業は増えるでしょう。これらによって、FA製品の需要増に拍車がかかるのは間違いないと思います。
世界の機械産業におけるトルコの存在感は、今後高まるでしょう。欧州の大手企業に追いつくには少し時間がかかりますが、これから育成できる若い人材を豊富に抱えているなど、大きな潜在力を秘めているからです。機械産業の成長とともに、FAに市場が拡大することが期待できます。

地場のユーザーとベンダーを支援

─FA市場が成長する機運が高まっているトルコにおいて、どのような活動を展開するのでしょうか。 Bizel氏他の支部と同じようにCC-Link/CC-Link IEユーザーの皆さんに最新情報を提供すると同時に、CC-Link/CC-Link IE対応機器を提供するベンダーの皆さんのビジネスを支援することで、CC-Link/CC-Link IEの普及を図ることが大きなミッションです。
このために当面、大きく二つの活動を進めます。
一つは、教育および啓蒙活動です。イスタンブール、アンカラ、イズミル、コンヤなどトルコの主要4都市で、地場の企業を対象にした技術セミナーを開催します。トルコにおける産業の発展をリードしているこれらの都市では、自動化システムのニーズが高まっているからです。
もう一つの主な活動は、トルコのパートナー企業が開発したCC-Link/CC-Link IE対応機器の規格適合性試験(コンフォーマンス・テスト)の実施です。すべての製品について、適合性試験を実施し、CC-Link/CC-Link IE対応機器間における相互運用性を確保します。これによって、ユーザーの皆さんは高い信頼性を備えたFAシステムを構築することができるようになります。

トルコの製造業発展に貢献

─活動はトルコ国内に限っているのでしょうか。 Bizel氏CLPAは、グローバルな組織です。日本を基点に、韓国、台湾、北米、欧州、中国、インドなど世界数カ所に拠点を展開しており、トルコ支部はその一つです。世界各地の拠点が密接に連携を図りながら、ユーザー企業やパートナー企業の皆さんが進めるグローバルな活動を支援します。 ─CLPAの活動成果に関する見通しを聞かせてください。 Bizel氏トルコの製造業を支えている企業が手掛けている分野は、多岐に広がっており、FAに関するニーズも多様です。このため、新しいソリューションが生まれる機会が多いと思います。新たなソリューションを開発するために、高い信頼性や相互運用性を備えたCC-Link/CC-Link IEは、様々な形で貢献するはずです。
CLPAは、こうした強力な技術の普及を図ることで、グローバル市場におけるトルコ企業の競争力強化に貢献したいと思っています。

Tolga Bizel氏CLPA-Turkey
代表

CLPAトルコ支部開所式の様子
[現地レポート] 開所式にトルコのメディアが参集
「マルマライ計画」での成果を紹介

CLPAは、2014年3月19日にトルコのイスタンブールで、トルコ支部の開所式を開催した。FA 関連の大型展示会「WIN Automation-World of Industry Fairs」の会場内で開催された同開所式には、現地のメディア関係者や産業界のキーパーソンが数多く参加した。

三菱電機トルコ代表の藤澤正宏氏の挨拶で幕を開けた開所式では、CC-Link/CC-Link IEの開発元である三菱電機およびCLPAのメンバーが次々と登壇した。CLPA事務局長の中村直美氏は、様々な産業用オープンネットワークの中におけるCC-Link/CC-Link IEの優位性をアピール。CLPAテクニカル部会部会長を務める大谷治之氏は、CC-Link/CC-Link IEの特長を技術の面から解説した。この中で、CC-Link/CC-Link IEの今後の展開などについて言及している。このほか、自動化関連の現地業界団体 「Industrial Automation Manufacturers' Association (ENOSAD)」のChairmanを務めるSedat Sami ÖMEROĞLU氏も登壇した。
数々の講演の中で、とくに来場者の注目を集めたのが三菱電機トルコ副代表ヌレッティン・ゲチュゲル氏の講演だった。同氏は、トルコにおけるCC-Link/CC-Link IEの重要な採用事例の一つである「マルマライ計画」を紹介した。
マルマライ計画は、イスタンブールを分断しているボスポラス海峡のアジア側とヨーロッパ側をつなぐ全長1397mの海底トンネルと、このトンネルを経由して両岸を往復する全長13.2kmの鉄道を建設するというもの。2013年10月29日に鉄道が開通した。この鉄道の地下駅、地上駅、換気設備、発電設備に、CC-Link IEを使ったネットワークが張り巡らされており、照明、エレベータ、ポンプ、空調設備が統合制御されている。膨大な数の機器を制御するために、大容量で高速のCC-Link IEが必要だった。

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