Vol.6 Interview

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4

Renesas Electronics

「R-INエンジンとCC-Link IEの組み合わせがIoT/M2M活用に最適」
1Gbps対応の産業用Ethernet通信LSIを提供するルネサス エレクトロニクス

機器の自律的な制御を可能にするIoT/M2Mは、ものづくりの現場では生産効率向上などを可能にする半面、通信量の肥大化の懸念もある。その課題に対し、「機器の高性能化」と「広帯域対応」の両面からソリューションを展開するのがルネサス エレクトロニクスだ。前者には新しいエンジンで、後者にはCC-Link IE対応で課題を解決できると、同社の傳田明氏は語る。

「IoT/M2Mのさまざまなシーンの中でも、生産設備ほど大量のデータを発するものはありません。生産ラインの随所に配置されたセンサが、データを収集し続けるためです。データ量が膨大であることは詳細な分析を可能にする半面、処理のインフラに大きな負担がかかります。ネットワークへの負荷増大で遅延やデータ品質低下が進んだり、設備を制御するPLCの消費電力が増大したりするわけです。
当社が2013年に産業用Ethernet通信LSI『R-IN32M3シリーズ』をリリースしたのは、こうした背景を受けたものでした。R-IN32M3シリーズの特徴は、リアルタイムOSの機能の一部をハードウエア化した『R-INエンジン』で、高速性を追求したことです。CPUの負荷を下げたことで、従来より5〜10倍の高速化が実現しました。
高速化によって空いたリソースは、機器によるデータの一次処理に充てることが可能です。生データを単純に全部上げるのではなく、データの統計処理や不良なデータの検出などを施したうえで有効なデータだけ上げるため、ネットワークの帯域を有効に活用できます。
IoT/M2Mへの注目度がさらに増しているのに伴い、当社は2015年10月から新しいLSI『R-IN32M4-CL2』を出荷することにしました。R-IN32M3シリーズ同様にR-INエンジンを搭載するのに加えて、新たに1GbpsのPHYを内蔵しています。
これまで産業用Ethernetは、100Mbpsあれば十分と考えられていました。しかしIoT/M2Mであらゆる機器がつながる環境が進むことを考えると、100Mbpsでは早晩足りなくなるでしょう。そこで通信のデータ量を抑えようというのがR-INエンジンだったのですが、それに加えてネットワークそのものも広帯域化するアプローチも取ることにしたわけです。
R-IN32M4-CL2もR-IN32M3シリーズと同じく各種プロトコルに対応しますが、実質的にはCC-Link IE用と言っても過言ではありません。現時点で1Gbpsの広帯域に対応している産業用Ethernetは、CC-Link IEしかないからです。IoT/M2Mの進展に対応するためには、広帯域のCC-Link IEを積極的にサポートすることが必要と考えました。
当社はR-INエンジンを使った製品開発を支援する『R-INコンソーシアム』を組織し、ベンダー同士の協業を推進中です。CC-Link IEの特徴を最大限に引き出せるR-IN32M4-CL2は、その協業の核になると確信しております」。(談)

OS処理の一部をハード化したことで処理に余裕が生まれた

傳田 明氏ルネサス エレクトロニクス株式会社
第二ソリューション事業本部
産業第一事業部長

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4