Vol.2 FAの新境地を拓くCC-Link/CC-Link IE

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Special Report

CC-Link協会 Safety GB/Z発表会レポート

CC-Link Safetyが中国国家規格に
北京で認定取得発表会を盛大に開催

日本発の産業用オープンネットワーク「CC-Link」の技術をベースにした安全フィールドネットワーク規格「CC-Link Safety」が、2013年5月に中国国家規格「GB/Z」の認定を正式に取得。これを受けた規格取得発表会が2013年5月8日に中国北京市内の釣魚台国賓館で開催された。約80名の来場者を迎えた発表会では、規格化にかかわった中国政府関係者、CC-Link協会(CLPA)、ユーザー企業、機器ベンダーなどが登壇。盛会のうちに幕を閉じた。

GB/Zの認定を受けたCC-Link Safetyは、通信異常検出機能や、非常停止要求など安全情報の通信に対応するための機能を盛り込んだ、安全フィールドネットワーク向けの規格である。この規格のGB/Z認定取得に向けた動きの始まりは、CC-Linkの普及推進団体CLPA(CC-Link Partner Association)が、CC-Link Safetyの基盤となっているCC-LinkのGB/Z取得に乗り出した2005年ごろにさかのぼる。
まず、CLPAは、2005年12月に「指導性技術文書」と呼ばれるGB/Zの認定を取得。2009年6月には、さらに上位の規格に当たる「推奨標準」と呼ばれる「GB/T」の認定を受けた。「これに続いてCC-Link Safetyが、GB/Zの認定を受けたことによって、これから中国で本格的に普及する工場の安全システムにおいて、CC-Link Safetyを採用する動きが加速するでしょう。同時に、CC-LinkおよびCC-Link Safetyに対応した機器やシステムの開発が、中国国内で一段と活発化することを期待しています。」(CLPA事務局長 中村直美氏)

標準化のキーパーソンが多数参加
図1 発表会関係者および来賓の記念撮影

中国の技術標準を策定している全国工業過程測量制御標準化技術委員会(SAC/TC124)が主催する今回のCC-Link Safety GB/Z規格取得発表会には、認定作業にかかわったSAC/TC124のメンバーをはじめとする中国政府側の関係者が来賓として招かれた。このほか中国FA業界の関係者や業界誌記者など約80名が会場に集まった(図1)。
発表会の冒頭ではSAC/TC124秘書長で、中国ITEI(Instrumentation Technology and Economy Institute)の所長を務める欧陽氏が来賓を紹介。同氏の紹介を受けて最初に登場した中国国家標準化委員会工業第二部処長の孫維氏が、CC-Link SafetyがGB/Z(29496.-1~3-2013)の認定を取得したことを演壇で発表した(図2)。
このあと国家安全生産監督管理総局政策法規司副司長で機能安全委員会主任委員を務める鄔燕雲氏、同済大学教授でCLPA China会長を務める陳啓軍氏、SAC/TC124副秘書長の王春喜氏、北京和利時系統工程有限公司総技師で規格起草ワーキンググループ代表を務める羅安氏が順に演壇に上った。

図2 CC-Link Safety GB/Z規格取得発表会の風景

以上の中国側関係者の講演や挨拶の後に、CC-Linkの開発元である三菱電機の中国法人三菱電機自動化(中国)有限公司総裁の城下雅紀氏と三菱電機名古屋製作所副所長の富澤克行氏が、規格起草ワーキンググループのメンバーに感謝状を授与。続いてCLPA事務局長の中村直美氏とCLPA 技術部副会長で三菱電機名古屋製作所FAシステム第二部安全規格推進グループマネージャの藤島光城氏が登壇し、認定取得に向けたCLPAの取り組みやCC-Link Safetyの技術概要をそれぞれ説明した。
この後、CC-Linkのユーザーとして一汽轎車股份有限公司(FAW Car Co.,Ltd.)技術部設備設施科研究員の陳剛氏が登場し、導入の経緯などについて講演。最後は、CC-Link Safety対応製品のベンダー代表としてパナソニックデバイスSUNX執行役員でセンシングコントロール事業部長の嘉正安記氏が登場し、CC-Link Safetyに対応した最新製品を紹介した。

嘉正 安記氏パナソニック デバイスSUNX 執行役員
センシングコントロール事業部長
[Closeup] パナソニック デバイスSUNX
CC-Link Safety対応の最新製品を紹介

CC-Link Safety対応製品のベンダー代表として登場したパナソニックデバイスSUNXの執行役員でセンシングコントロール事業部長の嘉正安記氏は、同社のプロフィールを紹介した後に、CC-Link Safety対応の最新製品である「リモートI/Oユニット『SF-CL1T264T』」の特長や利点を説明した。この製品は、ライトカーテンをはじめとする複数の安全機器をCC-Link Safetyに準拠した安全ネットワークに接続するためのゲートウエイの役割を担うユニットである。同社の主力製品の一つであるライトカーテン「SF4Bシリーズ」を2セットまでコネクタで簡単に接続できる。これとは別に端子台(入力12点)を備えており、複数の安全機器を同時に接続することが可能だ。つまり、ライトカーテンを含む複数の安全機器の配線を統合したうえで、安全ネットワークに接続できるので省配線化に貢献する。
同社は、様々な産業用センサーを手掛けており、工場の安全システム向けのセンサーも数多く提供している。その中でもライトカーテンは市場で多くの支持を受けている同社の有力製品の一つだ。同社は、産業用センサーとともにPLCなどのFA関連機器も積極的に展開しており、その中の一つである「SF-CL1T264T」は、アジア市場開拓に向けた戦略的製品である。

陳 剛氏一汽轎車股份有限公司(FAW Car Co.,Ltd.)
技術部 設備設施科 研究員
[Closeup] 一汽轎車轿车股份有限公司
自動化をリードする中国企業が事例を解説

CC-Linkのユーザーとして登壇した、一汽轎車股份有限公司(FAW Car Co.,Ltd.)技術部設備設施科研究員の陳剛氏は、同社におけるCC-Linkの導入事例を紹介した。汽轎車股份有限公司は、中国自動車メーカーの最大手として知られる中国第一汽車集団公司(China FAW Corp)の傘下で乗用車の生産を担当している。
同社は、高品質と高い生産性の両立を図るために、生産システムの自動化に積極的に取り組んでおり、同社が導入している自動化システムの技術は世界でもトップレベルだと語った。こうした同社は、CC-Linkの技術を高く評価している中国企業の一つである。例えば、同社が抱える三つの主力生産拠点の一つである第一工場では、溶接と全ての組み立て工程、搬送システムにCC-Linkを使っている。その他の規格のネットワークを採用しているのは、塗装やプレスなど一部の工程だけだと言う。
講演では、会社設立当初からの同社における自動化の歴史を振り返ったうえで、主要な生産プロセスにおける同社における自動化システムの設計コンセプトを解説。そのコンセプトに基づいた実際の自動化システム概要を紹介しながら、その中におけるCC-Link対応機器の役割を説明した。

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